No.3「メッセージ(説教)の作成から実演」

「子どもたちよ。主にあって自分の両親に従いなさい。これは正しいことなのです。」

エペソ人への手紙6章1節

メッセージの構成

対象年齢や霊的必要
キリスト教主義学校の中学生・高校生合同の朝の礼拝におけるメッセージ。
礼拝の時間や聖書の授業はあるが、クリスチャンホームの子どもはわずかであり、生徒自身がクリスチャンというケースも少ない。ほとんどの生徒は、このみことばを聞いたことはあっても、自分の問題としては取り組んでいないと察せられる。
テーマ
主にあって両親に従う。
中心真理
神が選んでくださった両親に従うことは、神の目に正しく、私たちの人生も幸せになる。
視覚教材など
なし
タイトル
「なぜ親に従わなくちゃいけないの?」

メッセージ本文

導 入

私たちには、誰でも両親がいます。何かの事情で今は片親だけと住んでいるという人もいるかもしれませんが、とにかくみんな両親の元から生まれましたよね。

みなさんは、両親に従っていますか。おそらく、幼い時は、よく言うことを聞いていたことでしょう。ところが、中学生、高校生になったら、だんだん面倒になってきたり、言われても無視したり、命令されると反抗したくなったりしていませんか。どうしてでしょう。小さい時は、親に全面的に頼らないと生きていけませんし、言うことを聞くとほめてもらえたり、好きなものを与えてくれたりしたからかもしれません。でも、だんだん大きくなると、親の言うこととやることが矛盾していると思えたり、自分のことをちっともわからないで親の考えを押し付けてきたり、自由を制限したり・・・親に従うのが難しくなってきたのではないでしょうか。でも、今日の聖句は「子どもたちよ。主にあって自分の両親に従いなさい。これは正しいことなのです。」と言っています。これは、命令形です。神さまがみなさんに命令していることで、みなさんは絶対に従わなければならないことなのです。神様はどうしてこのことをこんなにも重大だと思われているのでしょうか。

本 論

1. 私たちの両親は神様が選び、定めたからです

創造の秩序
私たちは、自分で両親を選ぶことはできません。でも、両親も私たちを選ぶことはできなかったのです。聖書によれば、神様は、私たちが生まれる前から、まずどんな子どもが欲しいかイメージして、そのためにはこの男の人と女の人を結婚させようと両親を選び、定められたのです。そして、私たちを母の胎の中で組み立てられました。そうして、この私という人間が生まれました。私たちはもちろん、みんな世界でたったひとりです。けれども、だから大切なのではなく、天のお父様の神様が造ってくださったので大切であり「わたしの目にはあなたは高価で尊い」と神様は私たちひとりひとりを、見てくださっているのです。
地上で幸せに生きていくために
神様は、ご自身が造られた私たちを本当に愛してくださっています。だから、地上でも幸せになってほしいのです。そのために、この命令を与えてくださいました。子どもにとって、両親を心から愛し、尊敬し、従うことができるなら、これ以上の幸せはありません。ですから、人間関係の中で、親子関係が一番大切なのです。

2.「主にあって」でないと、両親に従えません

罪からくる苦しみ
ところが、最初に話したように、みなさんの心はなかなか親に対して素直になれないのが現実ですよね。私自身も、物心つく頃から、親に従うのは苦手でした。家事を手伝うのもいやいやながらでした。そして、お父さんのこともお母さんのことも、尊敬できず「どうしてこの二人は結婚したのだろう」などと考えたりしていました。そのために、この二人から生まれた自分のこともあまり好きではありませんでした。どうして、こんなことになってしまうのでしょう。
それは、私たち人間には、生まれつき「罪」の問題があるからです。罪とは、神を神と認めず、自分を神として、自己中心に考えたり行動したりする性質です。この傾向は幼い時にもありますが、皆さんくらいの年齢になると、ますますはっきりしてきます。すべては自分中心ですから、両親の言動をさばいたり、反抗したりしたくなるわけです。この罪の問題は、実はみなさんの両親の側にもあります。ですから、親は子どもを自分の思い通りに育てたくて、勝手なことを命令することもあるわけです。そうして、どこの家庭でも親子問題を抱えることになるのです。そして、これは神様に頼る以外には解決できない重大な問題なのです。
イエス様による罪の赦し
みなさんは、すでにイエス様が十字架にかかられ、死人の中から復活された出来事は知っていると思いますが、イエス様は、みなさんの親子関係が回復するためにも十字架にかかられたのです。みなさんの、親に逆らう罪を赦すためにも、身代わりの死が必要でした。もちろん、両親の罪を赦すためにも必要でした。それほどに、私たちの罪は自分の努力ではどうにも直せないほど破壊的だからです。

3.「主にあって両親に従う」なら喜びがあふれます

神への感謝と悔い改め
みなさんが、まだイエスさまを信じて洗礼を受けていなくても、今、心を神様に向けてください。そして「神様、私のために両親を選んでくださって感謝します」と祈ってみてください。そうすると、「そのことを知らないで、“こんな親”と文句を言っていた私を赦してください」と祈りたくなるものです。神様は、そういう祈りをこころから喜んでくださって赦してくださいます。そうして神様に赦されると、きっとみなさんは「私はこの両親から生まれてきて良かったんだ~」という気持ちになることでしょう。
両親への感謝と悔い改め
このように神様との関係が正しくなると、次には、親との関係が正しくなります。両親が自分を産み、育てるためにどれほど苦労してきてくれたか、色々なことを思い出して、感謝する思いがわいてくるでしょう。必死に働き、育ててくれている両親を尊敬する思いも生まれてくるでしょう。すると今度は、親の苦労に気が付かず、当たり前のように思ったり、不平不満を言ってきた自分が恥ずかしくなってきます。親が自分に命令したことは、実は自分を愛しているから守るためだった、成長させるためだったのだ、とわかれば、それからは喜んで従うことができるのです。「お父さん、お母さん、ありがとう、ごめんなさい」というへりくだった心の姿勢を、神様はとても喜んでくださいます。

結論

このように、私たちは、神様によって両親を与えられたのですから、主にあって両親に従うなら、親子関係は神様に祝福され、私たちは幸せになることができます。もちろん、両親にも罪がありますから、神様が禁じていることを命令してきたら従う必要はありません。でもそんな時、怒ったりさばいたりするかわりに「イエス様、両親を赦してください。私も赦します」と祈ってください。このような姿勢こそ神様の前に正しいことなのです。

祈り

天のお父様、私たちを両親から生まれさせ、愛してくださって感謝します。イエス様を信じて、両親に素直に従える子どもにしてください。アーメン

メッセージ(説教)の実演

松伏キリストチャペル増田敏子

子どもたちよ。主にあって自分の両親に従いなさい。これは正しいことなのです。

エペソ人への手紙6章1節

聖書研究

1. 疑問点など

  • 「子どもたち」と「両親」の関係はどのようなものか
  • 「主にあって従う」とはどのような態度か
  • 「従うことが正しい」のはどうしてか

2. 関連箇所

  • エペソ6:2-3 「あなたの父と母を敬え。」これは約束を伴う第一の戒めです。「そうすれば、あなたは幸せになり、その土地であなたの日々は長く続く」という約束です。
  • コロサイ3:20 子どもたちよ。すべてのことについて両親に従いなさい。それは主に喜ばれることなのです。
  • 出エジプト20:12 あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が与えようとしているその土地で、あなたの日々が長く続くようにするためである。
  • 申命4:9 ただ、あなたはよく気を付け、十分に用心し、あなたが自分の目で見たことを忘れず、一生の間それらがあなたの心から離れることのないようにしなさい。そしてそれらを、あなたの子どもや孫たちに知らせなさい。
  • 申命4:40 今日、私が命じる掟と命令を守りなさい。あなたも、あなたの後の子孫も幸せになり、あなたの神、主が永久に与えようとしておられるその土地で、あなたの日々が長く続くようにするためである。
  • マタイ15:4 神は「父と母を敬え」、また、「父や母をののしる者は、必ず殺されなければならない」と言われました。
  • イザヤ43:4 私の目にはあなたは高価で尊い。私はあなたを愛している。

3. 時代背景

  • モーセの律法の第5の戒めであり、神の最重要性を教える第1から第4戒に次ぐ、人間関係について教える最も大事な戒めである。家庭が子供によく教え、子供が親を敬うようになることが最も大切な教育であった。
  • 家庭教育の要は、エジプトからイスラエルの民を連れ出した神の業を口伝し、その御業を讃えて礼拝することであり、子どもによくよく教え込むことであった。
  • その教えには安全教育、健康管理、荒野で生きるためのノウハウなど、守らねば死活問題となるものが多く、守って生きることはすなわち安全で長生きが保証されるものである。
  • イエス様は、神の子であるのに、ご自分を育てた両親によく従い、父から大工としての技能を習得し、母に従いよく手伝い敬って、信頼を得ていた。妹や弟の面倒もよく見たと考えられる。
  • そのため、30才で公生涯に入るまで、周囲から大変愛され、逞しく、頼られる大人に成長していった。

4. 適用と普遍的真理

  • 子どもたちよ、の呼びかけは、小さい子どもから親元にいる成人するまでの子どもに向けて、神様が語っておられる命令である。特に親の保護のもとにいる小さい者たちは、親に従順であることが絶対的に求められている。
  • 神は私たち人間を愛し、人間の幸せを願っておられる。そのために神は両親を選び、私たちを生まれさせ、愛の中で育てられることを望んでおられる。
  • 親も神から親としての権威と、養育の使命を託され、神への信仰を持って愛し訓練することが求められる。
  • そんな中、子どもには、自分の中の親への不従順を意識させ、それが罪であること、罪があっては神様に喜ばれないこと、イエス様がその罪のために十字架に身代わりとなって死んでくださったことを信じる信仰に導きたい。
  • イエス様の、親への従順と、父なる神への従順をお手本とする。
  • 親の日ごろの愛の労苦に感謝と尊敬を表し、従えなかったときには悔い改めをすること、そのような生き方が地上での生涯を幸いなものとし、永遠の命の祝福となる。

個人的適用

  • 夏の1か月間1歳の孫と過ごし、愛おしい命を思うとともに、自分の子育てを振り返る機会となった。
  • 歩き始めたばかりの孫は、どんどん行動範囲を広げ、言葉を習得し、また、思うがままに危険なところへも突進し、触っていけないものに大人の顔色を見ながら手を伸ばすといった、罪の性質を示すところが多々見られた。人間の向上心と同時に、不従順の罪を生まれながらにして持っていること、そのために子どもは保護者の絶え間ない教えと監督が必要な存在である。
  • ある場合にはきつく叱り、罰を与えてダメなことはダメと教えられなければ、命の危険があること、また、親の言うことに従うことを教えられなければ手の付けられない我がままに育ってしまう。
  • そんなふうに、私たちの親もずっと私たちを見守り、教えて、色々危険や罪から守ってきてくれた存在である。
  • 私の父は少し短気で、すぐ怒る恐いところがあり好きではなかったので、寂しい思いがよみがえってくるが、大人になってから考えると、こんなことすると父に怒られるから、という歯止めになっていた部分も多いと思えた。その頃の時代を考えると、貧しい中、精いっぱい家族のため働いて養ってくれたと感謝している。

メッセージ

対象年齢
小学生 クリスチャンホーム、そうではない家庭の子どももいる
テーマ
両親に従う
中心的真理
神様のみ言葉に従うことの祝福の大きさ
視覚教材
暗唱聖句チャート 「子どもたちよ。主にあって自分の両親に従いなさい。これは正しいことなのです」
タイトル
「両親に従う」

こんにちは。さて、皆さん、今日のみ言葉は、こちらです。一緒に読んでみましょう。(み言葉チャートを提示する)

「子どもたちよ。主にあって自分の両親に従いなさい。これは正しいことなのです。」

エペソ人への手紙6章1節子どもたちよ、とこのみ言葉は始まっています。

聖書は大人のためにだけ書かれたのではありません。神様は、皆さんのような子供たちのためにも、聖書でたくさんのことを教えています。その中でもこのみ言葉は一番大切な教えです。

皆さんには、お父さんとお母さんがいますね。家庭の事情がいろいろあるかもしれませんが、でもきっとおうちの方がいて、毎日ご飯を作ってくれたり、必要なものを買ってくれたりと、お世話をしてくれてますね。時には悪いことをしてすごく叱られるかもしれない。とにかく、皆さんはいろいろと面倒を見てくれるおうちの方が今日まで育ててきてくれたんですね。

1. 神様は人間を愛しておられる

では、神様はどうして両親に従いなさい、という命令をくださったのでしょうか。それは、神様が私たち人間を愛して、私たちの幸せを願っているからです。じつは皆さんは一人一人が神様によって、命を与えられました。神様は、皆さんをこの世に生まれさせるために、二人の両親を選びました。

そして、皆さんを愛して、愛情いっぱいに育てるように、親は子供を任されているのです。

子どもが「おぎゃー」、と生まれた時から、いいえ、それよりも前から、お母さんのお腹の中にいる時から、あなたは、神様と両親に愛されていました。親は自分の赤ちゃんを見て、世界一かわいい、って思うんですよ。生まれたばかりの時は真っ赤で、しわしわで、おっぱいをねだるだけの赤ちゃんですが、親はかわいくて、大好きで、大切な宝物を預かって、とっても幸せな気持ちになります。そして神様に感謝の気持ちと、大切に育てようという責任が与えられます。あなたを愛して育てるために、あなたに親をくださったのは、神様なのです。だからあなたも、親を愛さなくてはなりません。お互いに愛し合うこと、それが神様の願いです。

2. 罪とその解決

不従順な子どもと不完全な親
でも私たち人間は、実際はどうでしょう?少し大きくなると、子どもはすぐにいやいやを始めますね。スーパーに行くと、あれ買ってこれ買って、とだだをこねる子どもがいます。お母さんがさあ、おかたずけをしなさい、というのに、やだー、と言うことを聞かない子どもがいます。皆さんはどうですか?皆さんの中に一度も親に逆らったことのない子はいますか。多分いないでしょう。
親もまた人の子なので、完璧な親はいません。イライラして子どもを怒鳴ったり、子どもをイライラさせたりするときもあります。それで、この世の中はたくさんの問題が起きるのです。ニュースで毎日のように、悲しい親子の事件が起こります。親と子が愛し合うことができなくなっているのですね。
人間は皆罪人です
それはじつは、人間は皆、生まれながらにして罪を持っているからなのです。罪を持たずに生まれてきた人は一人もいません。子どもは皆、罪人として生まれて罪人として育っていきます。それで、親の言うことにも従いたくないのです。おぎゃーと生まれたかわいい赤ちゃんも、じつは生まれた時から、みなが、罪という性質を持って生まれてきたのです。
不従順を悔い改める
でも、そんな罪人のわたしたちのために、私たちの罪を赦すために、イエス様が十字架にかかってくださいました。罪を一度も犯したことのない、神様の御子イエス様が、身代わりに罰を受けてくださったのです。私たちは罪を認めて、悔い改める時、神様は私たちの罪を赦してくださいます。

3. 両親を敬い、命令に従うこと

よう子さんの話
こんなお話を聞いたことがあります。よう子さんという小学生の女の子がいました。よう子さんはお母さんの顔がすごく嫌いでした。なぜなら大きなやけどの跡があるからです。よそのお母さんはあんなに綺麗なのに何で私のお母さんは、とか、何でこの人が母親なんだろう、とさえ思ったことがありました。そんなある日のこと、学校であることに気づきました。夕べ仕上げた家庭科の課題を、家に忘れてきてしまったのです。家庭科の授業は五時間目。4時間目の授業はもう落ち着かなくて耳に入りません。よう子さんは、昼休みに家まで取りに帰る事にしました。四時間目も終わり帰る準備をしていたところ、クラスメートが「よう子ちゃーん、お母さん来てるよ」 と言いました。
よう子さんははっとしました。急いで廊下に出てみると何とお母さんが、忘れた課題を学校まで届けに来ていたのです。
「なんで学校にきてるのよ!取りに帰ろうと思ってたのに!」
「でも、よう子ちゃん夕べ頑張ってやってたから・・・」 とお母さんは言いました。
よう子さんは、「おばけみたいな顔して学校来ないでよ、バカ!」と言ってお母さんから課題をひったくるように取り上げると、教室に入って行きました。自分のお母さんがあんな顔をしていることを友だちに知られてしまったことで、よう子さんは顔から火が出るおもいでした。
その日の夕飯後のこと、よう子さんはお父さんに呼ばれました。お父さんはこんな話をはじめました。
「よう子がまだ生まれて数ヶ月の頃、隣の家で火事があってな。その火が燃え広がってうちの家まで火事になったことがあったんだよ。そのときに二階で寝ていたお前を助けようと、母さんが煙に巻かれながら火の中に飛び込んでいったときに、顔にやけどを負ってしまったんだよ。今お前の顔がきれいなのは母さんが火の中に飛び込んでいってお前を助けたからだよ。」
よう子さんはそんなことは、はじめて聞きました。
「なんで今まで黙ってたの?」よう子さんは涙ながらにお母さんに聞くと、
「よう子ちゃんが気にすると思ってずっと黙ってようと思ってたんだけど・・・」 といいました。
よう子さんはお母さんへの感謝の気持ちと、今まで自分がお母さんに取ってきた態度を振り返って、胸が張り裂けそうになり、「お母さーん」と言ってお母さんの膝の上でずっと泣いていました。
今ではお母さんの顔のことが誇りに思えるようになりました。よう子さんは、お母さんの愛の深さを知って、自分の罪を悔い改めました。そしてお母さんを心から愛することができるようになりました。
神様に喜ばれること
みなさん、イエス様は、このお母さんのような方です。命を懸けて子どもの命を守ったこのお母さんのように、イエス様は、私たちの身代わりとなって、十字架にかかってくださいました。神様は大切なひとり子のイエス様を、私たちの身代わりに罪の罰を受けるようにされました。ですからこの神様の愛に答えて、神様の言葉に従いましょう。
子どもたちよ、両親を敬いなさい、とほかの個所では書かれています。敬うとは、心から従って教えを大切にすることです。いやいやながらではない、喜んで従うことです。
神様は正しい方です。神様は愛するあなたを、親を通して愛してくださっています。そして、たとえ素晴らしい親でなくても、親以上に私たちを愛してくださる神様がおられます。その神様に従い、愛することが正しいことなのです。
ではもう一度、み言葉を読んで心に刻んでおきましょう。

「子どもたちよ。主にあって自分の両親に従いなさい。これは正しいことなのです。」

エペソ人への手紙6章1節