No.9 キャラクターボイスの工夫

「それはあなたが私の内臓を造り、母の胎のうちで私を組み立てられたからです。」

詩篇139:13

神様は、私たちを世界でたった一人の存在として創造してくださいました。これは天地創造の 始めから、これまでの長い歴史を超え、これからも同様です。神様は何とクリエイティブなお方 なのでしょう。この神様の創造性は、私たちの声にもあらわれています。腹話術を習うとき、皆 さんは、まず「頭声」という一種類の声の出し方を学び、発声してみました。すると、すべての 人が違った頭声を持っていることがわかったのです。ですから、たとえパペットは同じものを 持ったとしても、台本が同じであっても、声は違うし、話し方もそれぞれですから、すでにみな さんの「キャラクターボイス」は、世界でたったひとつのものです。

それでも、さらに腹話術を楽しく、ダイナミックなものにするために、今日は「キャラクター ボイス」という観点で学んでみましょう。それは、キャラクターを作り上げるためには、声色と 声の出し方がとても重要な一要素であるからです。(ちなみに、キャラクターは3Kで決まる と、私自身は考えています。人形の「顔」「声」「ことば」です。)

性質の違った声

頭声以外で、性質の全く違う声は、6つ位あるようですが、その中で比較的習得しやすいもの を4つほど紹介しましょう。

  • 鼻声—声を鼻にかける。
  • まぬけ声—顎の力を抜いて、間の抜けたような低い声にする。
  • メロディックな声—イタリヤ歌曲を歌う感じで、頭に響かせる。
  • ささやき声—ひそひそ話をするような感じで、息を出す。

これらの声のうち、自分にとって出しやすいものを選んでみましょう。

人形と声のマッチング

人形の声に対して、私たちは、どうしてもありきたりの発想をしてしまうものです。たとえ ば、男の子や女の子なら高めの声、おじいさんやおばあさんなら、低くてハスキーな声、大きい クマなら低い声、小さい羊なら高い声など・・・

確かに、それが自分の感性にフィットして、その通りに出せるなら結構なのですが、しかし、 出せない場合もあります。それに、イメージ通りの声であることはかえって創造性に欠けること もあるのです。つまり、おじいさんなのに、甲高い声であったり、小さい動物なのにドスのきい た声であったりする方が、観る方からすると意外性があっておもしろいものです。

声の定着と人形探し

自分が頭声以外にどんな声が出るか、ということを研究するには、値段の安い小さなパペットを色々使って、試してみることが効果的です。

まずは、一声出してみて、出そうなときには、その音色でちょっとしたセンテンス(短い台 詞)を言ってみましょう。それが定着すれば、その後は台詞が長くなっても同じ音色を保つこと ができます。

そうしてかなり自信がついてきたら、その声が似合いそうなパペットを探して購入するとよい でしょう。(不思議に、まずパペットを買って、だいぶたってから声を作って使えるようになっ た、というケースもありますので、これは一概には言えません。)

同質の声と別の人形

みなさんは、人形を変えたら、声も何もすっかり変えなくてはならないと思われますか? 実 は、そんなふうに考えなくてもいいのです。

基本的に性質の違った声は、2つか3つ、トライしてみると面白いものですが、たとえ頭声で あったとしても、別の人形で別のキャラクターにできないことはありません。つまり、同じ頭声 でも、声の大小、高低、強弱、タイミングなど、色々と話し方を変えていけば、実は何種類もの キャラクターを作ることができるのです。(頭声しか出ないと思っている人には朗報ですね。も ちろん、一回の演技で、同じ頭声で違った人形となると難しいですが・・・)これらを参考にし ながら、みなさんももう一つのキャラクターボイスに挑戦してみてください。

2012年2月10日