No.12 笑いについて

「主がシオンの捕われ人を帰されたとき、私たちは夢を見ている者のようであった。そのとき、私たちの口は笑いで満たされ、私たちの舌は喜びの叫びで満たされた。」

詩篇126:1,2

「腹話術」と聞くと、多くの人は“楽しい”“おもしろい”そして“笑わせてくれる”芸だと想像す るようです。それは、教会内の伝道会であっても例外ではありません。聖書を読むと、直接「笑 う」ことについて言及している箇所はそう多くはありません。しかも、多くは否定的な意味合い で使われています。イエス様が笑われたと記録している箇所はありません。かといって、聖書は 私たちが笑うことを否定しているわけでもなく、かえって、人間が心から笑うときというのは、 神のみわざを体験したときだということが言えると思います。(例:「イサク」(彼は笑う)を 与えられたサラの笑い、バビロン捕囚から解放されたイスラエルの民の笑い)

そこで、今日は、腹話術における笑いの効用と注意点を考えてみましょう。

笑いの効用

  • 笑いは互いの緊張をほぐします。人形を持って出て行くとき、術者は誰でも緊張しているものです。ところが、観客も同時に緊 張しているのです。どちらも期待と不安をもっています。ですから、術者はなるべく早い段階 で、最初の笑いを作る必要があります。そうすると、自分も楽になるし、観客も安心して、話に 耳を傾けるようになります。
  • 笑いは相手の心を開きます。ゴスペル腹話術師であるなら、術者は必ず“伝えたいメッセージ”をもっているものです。それ が、きちんと観客に受け取ってもらえるかどうかが、非常に重要です。そのためには、まず相手 と良くコミュニケーションをとらなくてはなりません。また、信頼されなくてはなりません。そ して、心を開いて聞く耳を持って聞いていただく必要があります。そのために、笑いはとても効 果的です。大きな口をあけて手を叩いて笑うほどの笑いがあれば、観客はそのあと、とても素直 に話に耳を傾けます。特に聖書の話である場合、神様に対して関心を持っていなかったという人 も、神様は人間に関心があることを感じることでしょう。
  • 笑いは人に力を与えます。基本的に、笑いとは人間の健康に欠かせないものです。特に悩み、苦しんでいる人、ストレス の多い人に開放感を与え、心を前向きにする作用があります。「人生、そんなに見捨てたもので はない」という生きる力につながります

    また、「失敗するのは自分だけではない」と安心したり、「神は実にユニークな人たちを造られ た」とゆかいになったりするものです。

笑いの注意点

  • 笑いだけが心に残ってしまうことがあります。笑いは力がある代わりに、心に一番残ってしまうものです。メッセージでも例話がおもしろす ぎると、その話だけが心に残り、聖書の話は忘れてしまうということがあります。ですから、笑 いはあくまでも本論に集中させるための“呼び水”であり、適切なタイミングと適度な長さにして おかなくてはなりません。
  • 不健康な笑いはさけましょう。ゴスペルでは考えられませんが、下ネタであったり、自虐的であったり、他人を侮辱するよう な内容で、下品な笑いをとることは絶対にやめましょう。
  • 笑ってはいけない箇所があります。特に聖書の話をする場合、登場人物の名前をもじったり(例:○ザアカイですよ×アア、ソーカ イ)、大切な意味のあることばをもてあそぶようなこと(例:○アーメン×ソーメン)は絶対に慎 みましょう。心の柔らかい子どもたちは、その冗談をそのまま覚えてしまい、途端に聖霊が働け なくなってしまいます。また、重要な場面で、笑いをとるために、人形にふざけた台詞を言わせ ることは、真理を伝える妨げになります。

最後に

笑いとは、台詞以外の要素が原因で生まれたりするものです。ですから、始めから 計算して作り出す笑いよりも、術者と人形のキャラクターの味や、話そのもののおかしさも大切 にしたいものです。

2012年5月11日