No.20 メッセージ台本の作り方③
「あなたの指のわざである天を見、あなたが整えられた月や星を見ますのに、人とは、 何者なのでしょう。あなたがこれを心に留められるとは。人の子とは、何者なのでしょう。あなたがこれを顧みられるとは。」
詩篇8:3,4
腹話術の話が単なるお話のあらすじに終わってしまい、退屈になってしまうことは、往々にし てあることです。その原因は、以前にも書いたように、まず術者が、その話から新鮮にメッセー ジを受け取っていないことにありますが、その点について具体的に例えれば、主人公と登場する 人物像の掘り下げが不十分だということが言えると思います。特に、聖書の場合、登場人物がた くさんいて、しかもカタカナの名前ばかりですから、それを全部紹介していたのでは、とても複 雑な話になってしまいます。聖書というのは、同じ箇所から、いくつものメッセージができるほ ど、霊的な書物です。ですから、台本を書き出す前に、十分黙想し、「今回、一番伝えたいこと はこれにしよう」と心が定まるまで時間をかけることが必要です。そして、それに従って、登場 人物を選定し、主人公を中心とした構成を考えていくのです。
そこで今日は、具体的な聖書箇所をあげて、どのように掘り下げていくかを学んでいきましょ う。
- 聖書箇所:Ⅱ列王記5:1~19
- タイトル:「ある少女」(ナアマンの癒しよりも、少女の姿に焦点をあてる。)
- 中心的真理少女の信仰とひとことにより、ナアマンは病を癒され、まことの神に立ち返る ことが出来た。
- 登場人物と地理的名称ナアマン、ナアマンの妻、北イスラエルから捕えられてきた少女、 アラムの王、北イスラエルの王、エリシャ、エリシャの使い、ナアマンのしもべたち、ヨルダン 川、リモンの神殿・・・この中でどうしても必要な人物は誰か。また、名前を具体的にあげるべ きかどうかを考える(観客の知識や、対象年齢も考慮する)。
- 主人公の人物像少女を紹介している箇所は、2~4節だけであり、ひとことは、3節だけ なので、彼女の心理的、霊的状態は、文脈から想像していく必要がある。
- イスラエルからアラムに略奪されたときの少女の気持ちはどうだったか
- アラムの将軍ナアマンの妻に仕えている間、彼女の心や態度にどんな変化があったろうか
- ナアマンの病を知って、どう感じただろうか
- 女主人に語ったひとことに、彼女のどんな信仰があらわれているだろうか
- ナアマンとエリシャの出会いと結末エリシャの勧めはナアマンのプライドを傷つけたが、 へりくだってヨルダン川に7たび身を浸したとき、癒しがおこった。そのことにより、ナアマン はイスラエルの神が主であることを知った。
- 霊的教えこの箇所から、どのようなことを教えられるか。神について、人間について。神 との関係、人との関係について。思い出される新約聖書のみことばがあるか。
- 略奪され、敵の下で仕えることは、屈辱的であるが、少女は常に最善をなしてくださる神を 信頼することができた
- キリストに仕えるように、敵をも愛し、仕えた
- イスラエルの神は、他国の民にとっても神であるという信仰があった
- 病める者への慈しみの心と、預言者への絶対的信頼が、ひとことのすすめとなった
- 神は小さき者の信仰を用いて、偉大なみわざをなされる
- 適用現代に生きるクリスチャンとして、どんな点を変えられたいか。
- 導入このテーマにふさわしい導入があるか(例:震災で家族を失くした少女が、人々の 心を励ましたいと、音楽のレッスンに精を出していることへの感動)。
このように、人物像を掘り下げるためには、祈りつつ、自問自答していくことが大変役に立ちま すので、是非試してみてください。
2013年3月22日