No.65 聖書台本がメッセージとなるために⑦
-アドリブの訓練-
「主は御霊です。そして、主の御霊がおられるところには自由があります。」
コリント人への手紙第二3章17節
前回は、腹話術でみことばを伝えるためには、聖書と共に、人形のキャラクターが重要だと学びました。そして、そのキャラクターを育てるために、まずは、心から愛しましょうとお勧めしました。今回は、その延長線上で、もう少し具体的に、「自由に話す」人形を育てることを考えたいと思います。
私が腹話術を習い始めた頃は、まずは台本を書いて、丸暗記して、人前で演じることだけに集中していました。ところがある日、奉仕教会の牧師婦人とお交わりしていた時に、ちょうど人形タカちゃんをかかえていたので、彼女がタカちゃんに向かって色々質問を始めたのです。私はすっかり緊張してしまって、タカちゃんもほとんど返事ができませんでした。すると、彼女が「まだ人形は自由にしゃべれないのね」と笑いながら言ったのです。私は内心、大変悔しい思いでした。「ああ、私はまだ初心者だから、人形を自由におしゃべりさせることができないのだな」と感じたからです。
この体験を改めて思いめぐらせてみると、これは、決して初心者だからではないと思えます。腹話術を長年やっていたとしても、もし、その人形にキャラクターが育っていなければ、その場にふさわしく自由に受け答えすることはできないだろうと思うからです。確かに、場慣れしてくれば、術者は適当に人形の台詞を考えることはできるかもしれませんが、それは「人形にしゃべらせている」のであって「人形がしゃべっている」のではないからです。人形はあくまでも「自分で考えて、自分の意見を言い、自分の感情を表現する」存在でなければなりません。
そこで、そのようなキャラクターとして育てるために、日頃からの訓練について、少しアイデアをお分かちしましょう。
術者と人形との会話
日常会話
日頃から、台本練習としてではなく、ふたりで一緒に会話をする習慣をつけましょう。今日はどんな気分か、最近考えていることはどんなことか、互いのことをどう感じているか、など。
信仰について語り合う
神、罪、救いについてなどはもちろんのこと、最近読んだ聖書について、互いに分かち合ってみましょう。
一緒に祈る
みことばについて語り合ったら、必ず一緒に祈りましょう。これは、いざ聖書台本を書こう、演じようとするときに、非常に大きな力となります。もちろん奉仕の前後にも祈りましょう。
腹話術師ではない人との会話
子どもを相手に話しかける
特に幼い子どもにとって、腹話術は本当に不思議な世界です。術者の唇が少々動いたとしても、やはり人形がしゃべっていると感じています。ですから、色々人形と話したいのです。子ども会などでは、メッセージが終わった後、子どもの代表が人形にインタビューするのもおもしろいでしょう。人形からも子どもに質問することができます。また、病気で入院している子どもたちを訪ねていって、ひとりひとりに語り掛けることは、大きな慰めとなり、このような奉仕は、主にも喜ばれることでしょう。
大人を相手に語り合う
大人にとっても、腹話術はやはり楽しいものです。術者が人形を操作していることは十分わかっていても、興味はあります。ちょっとした交わりの時間に数人でおしゃべりする時、人形をもって参加してみてください。堅い話でなくても、人形が自由に話すなら、その場が大いに盛り上がります。また、子どもと同様に、病院や施設を訪ねて、ひとりひとりに語り掛けていくと、相手は心を開いて、案外、自由に“伝道”できるかもしれません。なにしろ、みなさんはクリスチャンで、心にはご聖霊が内住しておられるのですから。
2021年8月26日