No.84 自分の十八番(おはこ)をもとう

「陶器師が粘土で制作中の器は、彼の手で壊されたが、それは再び、陶器師自身の気に入るほかの器に作り替えられた。」

(エレミヤ書18章4節)

 みなさんと学んできて13年目になりますが、みなさんの腹話術歴は何年でしょうか。少なくとも5年以下の人はいないと思います。これまで、みなさんは毎月の定例会を大事にして、とにかく腹話術そのものを“やめない”で頑張ってこられました。それは、みなさんが、腹話術で主を証しするために“選ばれている”方々であるからだと、私は確信しています。特に、コロナ禍でZoom形式になってからは、本当に熱心に、聖書台本や証し台本に取り組んでこられました。そこで、今回は、あえてお尋ねしたいのですが「みなさんはご自分の“おはこ”を何本くらいお持ちでしょうか?」つまり、「これなら、いつでも、どこでも、すぐにやれる」というお得意の台本のことです。
 私自身は、腹話術を学び始めて、3年後くらいから、諸教会の子ども会で奉仕するようになりましたので、いつも3本くらいの台本は暗記して、集会に応じて何をするかを決めていました。その頃は「迷子の羊」「ザアカイ」「放蕩息子」を主に演じていたと思います。集会が子ども会なのか、教会学校の礼拝なのか、などで時間や内容を考えて演目を変えていたわけです。その後は、対象が子どもだったり、親子だったり、大人の伝道会であったり、色々と変わってきましたので、その都度、台本を書き、なんとかして、“おはこ”に近い状態にまで完成させようと努力してきました。
 みなさんは、この私のように、いわゆる「ゴスペル腹話術師」とか「腹話術伝道師」というようなフルタイムの奉仕者とは違いますから、私の例は特別かもしれませんが、それにしても、腹話術歴○十年になりながら、“おはこ”がほんの1~2本であるなら、それは大変残念なことだと思います。
 そこで、今回は、いかに“おはこ”を持てるようになるかについて、書いてみたいと思います。

1.台本を書いたら、何度も作り直す。

 幸いにも、みなさんは毎月の学びを通して、テーマが与えられ、発表の機会があります。その発表の時を大事にして、みなさんの感想などを参考にしながら、何度でも書き直し、納得がいくまで、同じ台本を演じることです。毎回、別の台本を走り書きして、台本を見ながら実演し、1回発表したら終わりにする…というのは、一番効果のないやり方です。ひとつの台本を通して、台本作成のコツというものをひとつでも身に着けない限り、すぐに新しい台本を書こうとしても、すべてが振り出しに戻ってしまうからです。

2.台本を暗記したら、鏡の前で人形操作とセットで練習する。

 人前で演じるには、台本は暗記しなくてはなりません。けれども集会の3日前にやっと覚えたというようでは、全く間に合いません。台本完成から少なくても1か月くらいをかけて、暗記し、鏡の前で人形操作を研究し、自由に演じられるまで練習しましょう。

3.奉仕をしたら、よく反省し、台本を微調整していく。

 台本をさらに完成させていくには、「腹話術奉仕記録」をつけ、必ず、後で反省しながら、台詞や動きなどを工夫していく必要があります。奉仕記録としては、日時、会場、集会名、人数、演目、所要時間、反応、反省点などを書いておくと、後々まで大変参考になります。

4.違った会場、違った対象で、同じ台本を演じていく。

 みなさんがたとえご自分の教会だけでしか奉仕するチャンスがないとしても、「出番」は色々作れるはずです。礼拝、伝道会、教会学校、子ども会、婦人会、シニアの集い、等々、どこにでも顔を出して、違った対象で繰り返し演じることです。同じ台本は、最低5回以上演じていくなら、だんだんと“おはこ”に近くなっていくことでしょう。

2023年6月23日