No.94 著作権はあるの?

「あなたの隣人のものを欲してはならない。」

(出エジプト記20章17節)

 みなさんは、ご自分をゴスペル腹話術師と名乗ったとしても、いわゆるプロではなく、あくまでもアマチュアとしての立場ですので、「著作権」の問題は、あまり考えたことはないかもしれません。それでも、プロ、アマチュアに関係なく、著作権については、基本をわきまえていた方がよいと思われます。
 そもそも、私が「著作権」について、初めて知らされたのは、腹話術のステージで音楽ゲストの方に賛美をお願いした後、突然、音楽著作権協会から報告書の提出を求められ、曲によってはいくらかお支払しなければならなかった時でした。その時、音楽に限らず、どんな作品にも(有形無形にかかわらず)、他人が創作したものには、すべて「著作権」というものがあるのだと教えられたのです。それを一部分でも無断でコピーしたり、丸ごと使用したりというのは、明らかに著作権侵害となりますし、著作物によっては、きちんと報告して、定められた金額を払わなくてはならないものもあるわけです。
 これはこの世の法律の問題なのですが、聖書でも「隣人のものを欲しがってはならない」とありますから、やはり他人の所有物を許可なく使用することは、神さまも認めてはおられないと言うべきでしょう。
 こんなことを言う私も、実は「著作権」とは厳密にはどういうもので、どんな場合に適用されるべきか、細かく調べたわけではありませんので、これ以上のことは明記できません。ただ、こと腹話術の世界ではどんなことに気を付けたらよいか、いくつか考えてみたいと思います。

(1)他人が書いた台本を使用する場合

 これは、最も多くの場合、起こりえることだと思います。特に私のように「台本集」を発行している場合には、それを購入した方々は、「自由に使ってもいいのだろう」と思うかもしれません。が、実は、その場合にも、作者にひとこと打診する必要があるのです。そして、作者が「ノー」と言うなら、使用することはできません。私の場合は、大概は「どうぞ」と言ってきたのですが、最近は、「これは参考書ですから、台本はご自分で書いてください」と答えることにしています。なぜなら、著作権の問題ではなく、他人の台本を丸暗記しているようでは、その人の腹話術は全く成長できないとわかったからです。

(2)他人の演技を録音・録画する場合

 私は、これまでたくさんの教会でご奉仕させていただきましたが、いくつかの教会では、気づかないうちにビデオ撮影されていて、とても不愉快に思ったことがあります。腹話術に限らず、メッセージや講演も同様ですが、録音・録画をしたい場合には、必ず本人の承諾を得るというのがエチケットです。教会はその点、「来られなかった人のために」とか「記録として」という理由で、録音・録画することは許されて当たり前と考えるようですが、それは見当違いです。やはり本人には色々な理由があって、記録されたくないこともありますから、断る権利がありますし、主催者側は断られても受け入れなくてはなりません。これは謝礼とは別の事柄です。

(3)インターネット時代において

 とはいえ、今や、パソコンやスマホで、YouTubeを見る機会は溢れかえっています。いつでも、どこでも、誰のものでも、自由に保存したり転送できる時代になりました。おそらく、発信している本人は、何とかしてひとりでも多くの人に見聞きしてもらいたい、と願っているとは思いますが、さりとて、ある作品を保存して、そっくり真似られることは望んではいないでしょう。私自身も、YouTube上の腹話術演技を無断でコピーされ、そのまま使用されることは、大変不本意なことです。問い合わせがくれば、大概、お断りしています。それは、台本集の場合と同じことで、その人のためにならないと思うからです。
みなさんも、お互いに「親しい中にも礼儀あり」で学んでいきましょう。

2024年6月28日