No.83 自分の召しの確認
惰性からの脱却をめざして
(ローマ人への手紙11章29節)
早いもので、みなさんと共に学び始めて13年目に入りました。それ以前から交わっている方々にとっては、20年以上でしょうか。その間、だんだんと互いを知るようになり、ゴスペル腹話術についての知識も増え、その可能性についても気づいてこられたことと思います。ただ、人間はいつも同じメンバーだけで集まり、奉仕の場もほとんど同じだったりすると、だんだんと自分のやっていることに対して慣れっこになり、新鮮味を失ってしまいます。そして、自分の腹話術に対する確信とか情熱も薄らいでくることでしょう。
そんな時は、思い切って、YouTubeを検索して、他のグループや個人の演技を観てみると良い刺激になります。かつては、日本の腹話術界は決まったグループだけが活動していて、あまり変わり映えしませんでしたが、最近は、新しい「プロ」が新しいことにチャレンジしているようなのです。私自身、つい最近、「F-1腹話術グランプリ」なるものが、神戸で開かれていることを知りました。(やないあつ子主催、特別審査員としていっこく堂が参加)そこでいくつかの演技を拝見しながら、色々なことを感じ、考えさせられたのです。これは、是非みなさんも一度観ていただきたいと思いました。
ちなみに、これは外国人の演技ではなく、同じ日本人がやっていることですので、非常にわかりやすく、比較検討することが容易であるはずです。もちろん、これ以外の人々のパフォーマンスやレッスンの様子なども見つけたら、少しでも覗いてみましょう。きっと何か参考になることを発見すると思います。そこで、今回は、どんなことを考えながら観たらよいか、いくつかのポイントを挙げてみることにしました。
1.全体的な印象
(1)まず、演技を観ていて、何を感じるかが大切です。もし“強烈な違和感”があったら、それはどこからくるのだろうかと自問自答してください。
(2)“おもしろい”と思ったら、どこが、何がおもしろいのかを分析してください。人形の顔、台詞、動き、声、演出、術者の表情や動作、等々。
(3)“今まで見たことがない”と思ったら、自分がやってきたり、観たりしてきた腹話術や教え方と、どこが違うのかを点検してください。
2.腹話術の目的と用い方
(1)“この人は腹話術を何のためにやっているのだろうか”と考えながら、台本の内容を吟味したり、ホームページなどで、どんなアピールをしているか、そして活動の場などをチェックしてみましょう。
(2)自分が今まで知らなかった腹話術の活用法などがあったら、これから参考にできるかどうか考えてみましょう。
3.自分の腹話術が目指すもの
(1)他人の演技を観ることの一番の利点は、自分より優れている技に刺激を受けてアイデアをもらうだけのことではありません。その人の腹話術と自分の腹話術の世界がどう違うかを発見することにあります。「この人は腹話術をエンターテイメント(あるいは教育や福祉など)のためにやっているらしい。それでは、私はどうなのだろう」と自問することが大切なのです。
(2)クリスチャンでも腹話術を趣味でやっている人々もいますが、みなさんは、「腹話術で聖書の話をしたい。神さまの愛を伝えたい」と願っておられる方々だと思います。それでは、その志に対して、日頃、この世の腹話術師ほどの熱意や努力をもって取り組んでいるでしょうか。主に選ばれた者として、何を祈り、何に取り組んでいったらよいのでしょうか。
私も、今回の出来事を通して、自分にとっての腹話術とは何かを強烈に意識させられました。そして出した答えは、「腹話術は大好きだけど、主を証しするために用いる以外には興味がない」ということでした。それが主からの賜物と召命なのに違いありません。幸いな自己認識となり感謝しました。
2023年5月26日