No.19 ステージ伝道の軌跡
「神よ あなたは私の若いころから 私を教えてくださいました。私は今なお あなたの奇しいみわざを告げ知らせています。年老いて 白髪頭になったとしても 神よ 私を捨てないでください。 私はなおも告げ知らせます。あなたの力を世に。あなたの大能のみわざを 後に来るすべての者に。」詩篇71篇17~18節
私が25歳で腹話術を始めて、あと3年で50周年になります。もちろん28年で現役を退きましたし、その後丸5年間のブランク時代がありましたので、純粋な意味での50年とは言えません。それでも、私が指導してきた姉妹方が、その5年間も忠実に集まり、共に励まし合いながら月例会を続けてくださったので、私はその集まりに講師として復帰することができたのでした。
ところで、私が腹話術を始めて以来、教会巡りの奉仕の他に、心掛けてきたことがあります。それは「ステージ伝道」と自ら名付けたもので、公のホールを使用して、腹話術公演という形で舞台に立つことでした。教会の集会には来られない未信者の人たちにどうしたら福音を伝えることができるだろうか、そのために私にできることは何か…と祈り、考えついたのが「ステージ伝道」でした。
もちろん、たとえ千円でも入場料をいただくからには、それ相応の演技力がなくてはなりません。そのためにも、私はひそかに“プロ”になることを目指してきました。
とはいえ、10周年記念ステージまでは、私の「芸」は未熟で、それこそ仲間のみなさんや教会関係の方々の励ましと協力で何とかやってこられたのだと、今では頭の下がる思いです。それに、そのあたりまでは、集会は純粋に“伝道会”とはならず“発表会”レベルの内容だったと自覚しています。
それでも、神さまはまことに憐み深いお方です。私の小さな祈りと願いに対して、いつも大きな恵みをもって助け、導いてくださいました。
すべての集会が満席や立ち見とはいかなくても、実に多くの方々がかけつけてくださいました。
それに、驚くべきは会計でした。私の懐には何の蓄えもなかったにもかかわらず、どこのステージでも、収支はいつもとんとんでした。その極めつけは、10周年記念の時、仙台の300人ホールでは、雪が降って観客が少なく、50万円の赤字を出しながら、直後の高崎では700人ホールに立ち見が出るほどあふれ、50万円の黒字となったことでした。
それを聞いて、教会のある人が「えー、そんなに苦労して一円にもならないの?!」と驚いていましたが、私とすれば「伝道にお金がかかるのは当たり前。教会だって、伝道集会にはたくさんの支出をするじゃないの。それなのに、一円も赤字にならずにステージ伝道ができたなんて奇跡よ!」と叫びたいくらいでした。
話は変わりますが、毎回のステージで、私がもうひとつ心掛けていたことは、「必ず記録を取る」ということでした。写真はもちろんですが、いつもビデオ録画するようにその道の人に依頼してきました。
その目的は、単なる記念や自分の学びのためではなく、「腹話術とはこういうもの」「腹話術を用いるとこういう証しができる」と、腹話術を知らない人々への「啓蒙」と、後に続く若い世代への「信仰継承」のため、というこれまた“大いなる”ビジョンがあったからです。
この点でも、神さまのなさることは、私の願いをはるかに超えて、思いがけない形で残ることになりました。
40年も前は、世の中がビデオ撮りの始まりで、その機材の性能は値段が高いわりに画像も鮮明でなく、まことに記録としては貧弱なものが残りました。
しかし、それからDVDの時代となり、今やYouTubeとなり、世界中の人たちがアクセスして視聴することができるようになったのです。これはまさに、居ながらにして「世界宣教」ができる時代になったということです。(もちろん、サタンも対抗して、悪い動画を用いていますから、クリスチャンは心して取捨選択しなければなりませんが。)
そんな中で、私も主の導きで、『神の子ミニストリーズ』のホームページを作成し、今までの腹話術公演の記録をYouTubeとしてアップしています。
その5本の中で、一番アクセスが多いのは、25周年記念の公演です。これは、それまでの録画と違って、当時のテレビ伝道団体『ハーベスト・タイム』の方々が、機材を積んで車で駆けつけてくださり、大変きれいな画像で撮影してくださったからです。(ちなみに、この録画をもとに、テレビで2回に分けて紹介してくださったので、その後の反響は大きなものになりました。)
司会をあの有名な中川健一先生にお願いしたあたり、私の“怖いもの知らず”というか、“身の程をわきまえない図々しさ”が露呈したことでしたが、今考えても、これ以上ないほどのキャスティングでした!!特別賛美は岩渕まことさんでしたし。
2時間のステージでしたが、賛美、対談、献金の時間を除いては、すべてひとりで、合計4つの出し物を演じた50歳の私…「あの時は、そんなエネルギーがあったのねえ」と自分でも驚きあきれるくらいですが、やっぱり、それは「上からの力によって」という以外にありません。まことに主のなさることは、人の思いを超えているのです。
2025年3月3日