
No.9 旅がらすの苦悩
神学校の卒業が近づいても、私には、“就職先”が見つかりませんでした。数人の女子学生たちは、それぞれ結婚に導かれ、牧師婦人として奉仕先が決まって行ったのですが、私はひとり、あてもなく残された状態でした。自分自身の理想としては「教育主事」というような肩書の立場で、どこかの教会で仕えたいと思ったのですが、当時(...
神学校の卒業が近づいても、私には、“就職先”が見つかりませんでした。数人の女子学生たちは、それぞれ結婚に導かれ、牧師婦人として奉仕先が決まって行ったのですが、私はひとり、あてもなく残された状態でした。自分自身の理想としては「教育主事」というような肩書の立場で、どこかの教会で仕えたいと思ったのですが、当時(...
No.13「水の上を歩く」
「二人は話し合った。『道々お話くださる間、私たちに聖書を解き明かしてくださる間、私たちの心は内で燃えていたではないか。』」 (ルカの福音書24章32節) 私の個人的経験ですが、かつて腹話術伝道集会(大人)に招かれた時、集会直前にある信徒の方に「今日は、さぞかしおもしろいお話をしてくださるのでしょうね」と言...
小学校の仕事を退職して、そのまま神学校へと考えましたが、神学校の入学試験に間に合わず、私はかろうじて“聴講生”として滑り込みました。もともと正規の学生として学びたかったのですから、翌年、2年に編入するためには、全科目、合格点を取っていなければなりませんでした。 当時、その神学校は男性ばかりで、私が入った...
No.14「忍耐がもたらす幸せ」
大学2年生の10月にバプテスマを受けた私の生活は、その日から一変しました。 そもそも、私が大学で声楽を習っていたことを知った教会員は、私を聖歌隊に招き入れようと手ぐすね引いて待っていて、受洗当日の夕礼拝から、私は聖歌隊メンバーとなって賛美したのです。また、大学卒業後は小学校の教員となる予定でしたので、翌年...
No.13「金持ちの罪と裁き」
「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、ご自分の収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」 (ルカの福音書10章2節) 腹話術というものは、いつの時代にもマイナーな芸ではありますが、それでもかつては大変用いられたものでした。特に「ゴスペル腹話術」について考えてみますと、私が学んだ4...
私が高校一年に進級してから、我が家の空気がこれまで以上に重苦しくなってきました。3歳上の兄が、大学入試に不合格となり、東京の予備校に通うため、下宿生活になったためでしょうか。父は、いつも黙って宙に向かって人差し指で数字を書いていました。おそらく、お金の計算をしていたのでしょう。父と母が何やら話し合ったり、...
我が家は、私が物心つく頃から“キリスト教”的なムードはありましたが、父は自分ひとりで教会に通っていましたし、子どもたちを「教会学校」に連れていってくれることもありませんでした。(尤も、終戦直後の教会で、「教会学校」などはなかったかもしれませんが。) そんなわけで、私が最初に聖書のみことばに出会ったのは、...